メモ帳と隔離所

ゲームとかラノベとかの話をするブログ

BEATLESS 雑感

 一気に駆け抜けてしまった。ちょろい。
 
 ロボットの性能が人間を上回ったから数十年。人がやる必要があること。人がやるべきであることが次第に少なくなっている世界で繰り広げられる、人間とロボットのボーイミーツガール。
 正直軸になっているものは結構あって、一発読みではまとめきれてないところがある。思いとか心がないってことに対する問いかけであったり、あるいはロボットの側が人間を操作するようになるって危惧であったり。ちょっとこの辺は改めてまとめたいから再読予定ではある。
 とかく気に入ったのは主人公であるアラトの在り方と、彼に対する周囲の認識の描かれ方であったと思う。特別な力なんてない。むしろ考え足らずだし、作中でも散々言われてるくらいにちょろい。しかし、わかりあえると信じて、何にだって手を伸ばして、どうしようもないほど青臭くて輝かしい主人公が大変よかった。周囲の人間がそれでこそって肯定してくれたりとか、未来の形かもしれないなんて言ってくれるのが重ねて良いな、と。
 でもってエピローグ。これしかないってラストではないか。いやもうそうとしか。こうじゃなきゃいけないのだ。

 彼は信じて、彼女は信頼した。”かたち”しかないからこそ、この結末があったのだ。


 ……ところでレイシアの「”かたち”が意味を揺さぶる感覚が、わたしにとっての、アラトさんとの繋がりなのですから」ってセリフ、ちょっといじらしすぎませんか?

読んだもの雑感

 モノクロの君に恋をする
 好きなものをゴリ押してくるというか、これが好きなんだってぶつけてくるような作品はいいものである。話としては正直ありきたりだけれども、勢いに飲まれて気持ちよく読み切ってしまった。なにか書いたら買いそう。

 聖なる怠け者の冒険
 森見登美彦おなじみの京都舞台のドタバタ活劇。怪しげなキャラと胡乱なイベントが飛び交い、意味不明なままスケールが肥大化し、不意に美麗な景色を映し出されて異様なまでに綺麗に着地させる手腕は相変わらず見事。
 ラストの京都で惑うシーンの筆致の美しさといったらない。良質な喜劇はいつだって良いもんっすね。
 
 シュタゲゼロ
 アニメの方。正直観るまではだいぶビビってたところがあるのだけれど、観たらまあ杞憂だったなと。展開はちょっとグダってるところあるかなとは思うけれど、やっぱりおれはこいつらが好きなんだなって再確認になってよかったと思う。きれいなシーンは最高だったしね。

 狼と香辛料
 時間かけてちびちび本編とSpring Log1読み終わり。大変楽しかった。
 物語そのものの構造もさることながら、キャラの造形と取り回しが抜群にうまい。 二人旅のところに参加する三人目の立ち位置がこんなに上手いことあるかと思う。むしろ来てくれないかと思ったら本当に来てしまった。それ以外にも登場するキャラの扱いがいちいち上手い。本筋もつまらないはずがなく、移ろうもの、消えゆくものにン対する手付きとして大変良かったのではないかと。

 まちカドまぞく
 アニメで謎の言葉選びにあてられて原作をまとめて買った。セリフ回しが良いどころかグイッグイ動くシナリオとやたら強い百合で大変なことになった。単にギャグ調の4コマを読みに来たつもりがとんだ裏切りを受けたものである。もちろんいい意味で。

 

 FEとかもハピメアとかもやってるのだが前者はまだ1ルートしかやっておらず後者はFD終わったらにしようかなと。物語シリーズももう少し読んでからにしようかな。

 あとは「ささやくように恋を唄う」とか結構楽しみにしてる。「プリズム」は神林長平やりたい放題で楽しかったしもう一度読みたいってところ。

黄昏のフォルクローレ 雑感

 時は開国より数十年。主人公の有馬とヒロインすぴかの主従をベースに繰り広げられる伝奇ものといったところ。単純に好みだと思っていたのだが、その実想像以上に楽しんでしまった。navel系列、テキストがあまりにも強すぎる。
   最初のうちはいつも通りのようでいて、少しずつ緩やかに変化していく関係を描いた話、としての側面が強い。とことん2人の物語って部分を押し出して来て、冒頭から居心地のいい糖度高めの会話に振り回されっぱなし。当然ながら物語が進行するほどに強まってくので、否応にも目を離せなくなる。いいですよね距離感バグってる主従もの、最初からあまりにもバグってて頭おかしくなりそうだったけれど。だんだんとこいつらめんどくせえってのも明らかになってって楽しいことこの上ない。
 というわけで、主人公とヒロインのお話として大変出来が良かったです。この方向性で次回作出してくれるならめっちゃ買う。
 というか関係性描き出すための設定の組み方が巧みすぎる。どうなっている。

天気の子 感想

 とりあえず、実にいいものを見た。こんなもの叩きつけられては否応なしに気分も良くなるってものだ。観てる途中のテンションは最高潮だったし、終わった後は気持ちよくチャリを立ち漕ぎして鼻歌混じりに帰りましたよええ。
 以下はネタバレ
 
 さて、何のことはない少年と、世界をどうこうしてしまいかねない少女と世界と社会とが織りなすような作品。最後には大抵どうしようもない別れに至るようなそれに狂わされてどれほどが経ったのか。
 前半の全能感と打って変わって、後半の展開はまさしくといったところになる。あのどうしようもなさとやるせなさ言ったら何度覚えてきたことか? 逃避行の果ての切な願いの痛々しさはどうだ? そんな知らないはずがない展開を打ち出された後の最終局面。警察署からバイクで逃げ出して、傷を追いながら有刺鉄線を飛び越えて、電車のない線路上を走り抜けて。最後に世界も周囲も自分たちのために投げ出して手を伸ばすシーン。多分ずっと求め続けていた、原風景的でありながら決定的に違う一連の映像の気持ち良さと言ったら! あのシーンをあれほどまで密に描き出してもらって、これ以上の感慨なんてあるはずがない。あるはずがないのに、まだ上乗せしてくるんだからたまったもんじゃない。帰還して寝転がってる姿と、世界がどうにかなっても案外回っている絵と、投げかけられた言葉と、最後の坂道とで感情が振り切れてしまった。        
 
   ああそうだよ、おれは世界なんかより少女を救う話を観たかったんだよ。空に帰っていってほしくなんかなかったんだよ、と。
 
 この作品が生まれたことと、今でもこんな作品が掛け値無しに楽しめることがこの上なく嬉しい。きっと10年後も好きな作品って言えるだろう。
 
 あとは蛇足的に。
 
 感想とか漁ってると大抵なんらかのものを見出してる感じがある。まあこちらもイリヤの空見出してしまってもう大変ではあったのだが。当たらない銃弾ってのがもうね。
 
 書くタイミングは失したけど曲はだいたい刺さってる。グランドエスケープのサビの歌詞とか、少年少女的な全能感の切り出しか些か上手すぎると思う。
ところで、正直なところエロゲに関しては正直周回遅れでやっているため、「セカイ系エロゲ」なんてものが実在したのかわからない、タイトル上げてるの見つからないし……keyは違うと思うし……。

イリヤの空、UFOの夏 雑感

 中学2年の夏休み中、ぶっ通しで先輩のUFO調査に駆り出されていた浅羽は、最後の夜に一人で学校のプールに泳ぎに向かう。そこには先客の女の子がいて、あれよと言う間に泳ぎを教えることとなり、そして女の子の手首には金属の球体が埋まっていることに気付き……
 そんな冒頭から始まる物語。その後転校してきた女の子、伊里谷やハイスペックで奇人な先輩、水前寺が主に話を振り回す、夏休みの延長戦のようなドタバタ活劇。原チャリで突っ走ったり、マイムマイムを踊ったり、大食い対決を繰り広げたり、といったイベント群を驚くべき解像度で打ち出してくるその手腕は実に見事で、きっとこの夏が終わらなければいいと、真に思う。思わざるを得ない。
 だからこそ、最終巻で描かれる終焉が、死に向かう夏が、帰還の後の長袖のシャツが痛々しくてどうしようもない。序盤のひどく脆い全能感から絶望的なところに転がり落ちていくあたりも、わかっていたはずなのにやるせなさが凄まじい。タイムマシンのあたりとか表現やシーンの綺麗さも相まって感極まっていた、頼むからどこかに救いよあってくれって思いから生まれた空想と、南の島の幻想が重なってしまって目を背けたくもなる。
 ただ、何かを成すかどうかは別にして、それでもあがいたことは間違いじゃないはずで、そんなどうしようもなく少年だった彼と不可逆の夏のお話。
 今でも鮮明に思い出せてしまうあたり、その印象がいかに激烈であった事かと思ってしまう。本当に良い作品であった。
 もうUFOの夏はこないけれど、UFOの日は今年もまた巡ってくる。

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 雑感

 関わりがなかった同級生兼隣人とひょんなことから距離が縮まることとなり、ご飯作ってもらったり、掃除したり、見舞いに来てもらったり……してもらったばっかりだな、別にそればっかりではないのだけれど。まあそういったノリの、穏やかに時間を重ねる作品。
 新刊情報として流れてきた時から、なんとなく予感があったのである。あらすじに散らされたワードとか、どことなく漂う雰囲気とか、多分そのあたりから、めちゃくちゃ好みの作品が降ってきたのではないかと思ったもんである。
 果たして予感は的中した。どころか、しすぎた。言うても期待外れに終わることもあるだろうとかたかを括っていたら見事に嗜好のど真ん中をぶち抜いていった。雰囲気はもちろん、展開やキャラにも圧倒的な安心感を覚える出来。染み渡るようと言うかなんというか。どこか淡々としていながら、信頼を見せつけてくる表現であったり、一人暮らしの部屋の聖域性であったり、じわりじわりと縮まる距離であったりとか、お互いの所作とか妙に知ってるあたりとか、読むほどに好きな要素が増えていってたまらない。
 というか淡々としてる割にめちゃくちゃ糖度高い文体ずるいと思う。あと自室の聖域性を理解しすぎている。とことん外に出ようとしない。
 ともかく、この穏やかで気分の良い物語が、今後も淡々と末永く続いてくれれば良いと切に願うのだ。

備忘録的読んだものメモ

利他的なマリー
 誰もから評価されないとは分かり切っているけれど、もっと読む人が増えてくれればいい。そんな作品。いや決して上手いわけではないのだけれど、この作家の作品はどうも好み。
なにがと言われてもあんまり答えられないのだけれど。中盤以降の世間的も細かいことも知ったことかという体で好き勝手やってるところがなのか。
内容はタイトル通りといえば通り。どうしようもないような世界への嫌悪とかいろいろをまぜこぜにして作品にぶち上げるあたりが持ち味よなと思う。最初からもうちょっとやりたい放題してる作品も読みたいよなと思いつつ、流行らんのかなあと思ったり。
和香様の座する世界
 相変わらずのロミオ。作品全体としてロミオ好きな人はやって損はない出来。むしろ一般的なエロゲも求めて来ると面白くないだろうと思う。今更だけれど。
 ただそんなことは些細な問題で、面白い物語かという観点からすればそれはもう、と答えるほかない。あまりにもフットワークの軽い展開は健在で、開幕からしてなんだこれってなってから引き込まれ、そっからは神様と極貧生活したりイケメン店長と店を流行らせたりってしてたと思ったらあれよあれよと言う間に話が凄まじい方向にかっ飛んで行く。クリア後は思えば遠くに来たもんだとなる。屋台骨を支えるテキストの面白さも健在。どう形容するのがいいのかわからないが、独特のリズムというか、言葉の振り回し方というか、この辺りが癖になってしまう。総じておすすめ。
 
nine
とりあえず2作目までやりました。三作目は進行中。
相変わらずこのライターは楽しいもん書くなってのが強まる。加えて作品としても全体的にレベル高くて良い感じ。今キャラゲーの類お勧めするならトップに立てるシリーズになってるし、とっとと3作目やりましょうって感じ。シナリオもいい感じに王道だしね。
とはいえこう、普通に面白い以上の感想を持ちづらいところはあるかもしれない。演出とかも真新しさがあるってわけではないし。あと一作目は正直不完全燃焼なので同じ時間軸とかで続きやってほしいなあって。
レイジングループ
 人狼をADVに落とし込んだ作品。単純に言って化物シナリオ。ぶっちゃけ絵とか声とかに問題がないわけではないのだが、それを補って余りある化物っぷり。本当に楽しませていただいた。
 楽しかった点はいろいろとあるのだけど、個人的に一番は異常さの描きかたみたいなもんが相当に良かったのだと思うところ。プレイしていて生まれ続ける「なぜ?」がとことんシナリオを読み進める原動力になってとどまるところを知らない。そのへん踏まえた上での構成も上手く、最初のうちはなんだこの村……だったのがだんだんなんだこの主人公!?にシフトしてく。まじでなんだこの主人公。
 人狼ってゲームをシナリオに落とし込むにあたっての色々も非常に秀逸。シナリオにするにあたって違和感起こすであろうところをあらかた潰したり利用したりしている。