メモ帳と隔離所

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ラノベ感想:りゅうおうのおしごと!(1~3巻)

 三巻が面白すぎたので書くことにしました。

 

 一巻の内容をざっと言うと、史上最年少で将棋界のタイトル『竜王』を手に入れた主人公、九頭竜八一がとんでもない才能を持つ幼女、雛鶴あいを弟子に取るまでのお話。

 正直なところ、途中までは完全にロリコン養成ギプス的な小説だと思っていた。なんせ、将棋界でプロを目指すなら幼い方が良いって考えがあるわけだから、プロを目指す目的を持ってるあいをヒロインに据えることはなんもおかしくない。プロ目指してる子は他にもたくさんいるわけで、自然と登場人物に幼女が増える。なんだこれは。ラノベ的表現に敬礼。

 しかしながら、読ませてくる要素として、ひたすらに描写がかっこいいのである。正直なところ将棋には詳しくないので何がどうなっているのかはよくわからないが、周囲の驚く描写、指し手の気迫の描写等がこちらを掴んで離さない。一巻にあった主人公の連敗阻止の対局の後の記事も良かった。これはおれがそういう表現が好きなところもあるが。

しかし記者は敢えて断言しよう。 若き竜王は完全に復活した。 いや、さらにひとまわり大きく、強く、成長する途中なのだと。

白鳥 士郎. りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

  記事の結び部分。こういうのかっこいいと思ってしまう。

 まあそんなこんなで続き買うか、ってなり、三巻まで読み、今に至る。

 さて、本編を通して描かれているもの。一巻二巻は「師弟」が強い。一巻はちょっと寒いギャグが入ったり勢いで突っ走ってる節はあるものの。二巻は「師が弟子にできることはなにか」なんてことを綺麗に書いてたと思う。あと八一が天然ジゴロで朴念仁に過ぎる。頓死した方がいい。でも久しぶりにこの手の主人公見た気がするからわりかし楽しかった。でも頓死しろ。

 で、三巻。ここは前ほど師弟が全面に出てこない。書かれるのは「才能」ってところ。どストライクなテーマなんで非常に楽しかったし。プロ将棋界を書く時点でいつかはやってくれるだろうと思ってたものをぶちまけてくれて気持ちが晴れやかと言ったらない。一巻二巻で疑問だったところを払拭してくれたところもある。

 才能があふれる人間が溢れんばかりの力を振るうのは楽しいもので。 

 血の滲むような努力でその人間を追いかける姿は美しいもので。

 才能がないと一蹴されようとも、好きだから、とその道を選ぶことは綺麗なもので。

 そして現実は容赦なく叩き潰してくるのである。いや、八一が完全に才能で努力家を吹き飛ばした後にあいの二つの対局持ってくるのはもう流れとして完璧だった。あと作品全体の仕掛けにしても。もう完全にやられた。

 こんなもん見せられたら既刊全て買ってしまうってなもんである。当初は五巻までだったそうだけど続くらしいし、ありがたいことこの上ないね。