メモ帳と隔離所

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眠っていたデータファイル 1 - メモ帳と隔離所

『203号室』『ゲーム』『12月』

 

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「詰まったなあ」
「詰まりましたねえ」
 溜め息とともに、画面より視線を外す。窓の外は快晴の空。そろそろ昼時、といった時間。キリの良いところまで進んだら中断後食事になるだろうと考えてはいるのだが、なんとなく詰まったまま終わるのは始末が悪い。
「どこいけばいいんだこれ」
「あそこじゃないですかね? さっきのビル」
「ん、ま他になさそうだし行くか」
 テレビに映されているのはゲーム画面だ。『セピア色の彼等と幸福な場所』なんてタイトルで、中古店で適当に見繕って来たものだ。大体一年前くらいの作品だったと思う。突如として現れた機械化生命体と戦いながら、平和な場所を求める。そんな物語。発売当時はそれなりに話題になっていたはずである。
「お、すすんだっぽい。ナイス」
「おー。適当だったんですけれどね。さすが私」
「適当だったのかよ。不用意にうろちょろすると戦闘になるからやなんだけど」
「いいじゃないですか、私このゲームの戦闘好きっすよ、見てるぶんには」
「銃弾とかの補給場所遠いから極力戦闘したくないんだけどなこっちは」
 そんな望みも虚しく、小型の多脚戦車型の敵が画面上に映り込んできた。戦車型の頑強さと多脚故の機動力を持っている。代わりに当てればクリティカルになる部位が多いが、そうは言っても面倒な敵だった。有限なアイテムをやりくりしていくのは楽しいが、しんどさと隣り合わせである。
「この辺このタイプばっかりですねえ。また足狙いっすか?」
「そろそろ武器切れるんだよね」
「じゃあ何か他の手段で倒したいって感じですかねえ」
「とはいえ変に別の手段試すとかえって消費が嵩むんだよねえ」
「えー、やりましょうよ。さっきはああ言いましたけど、このタイプのは正直対処法ワンパターンで飽きてきました」
 お前が言うのかそれを。まあわからんでもないけれど。対処法が確立できているとはいえ、一度の対処にそこそこ時間がかかる上に数が多くて何度もやらされる。飽きるというのもさもありなんだ。
「他の手段って格闘? 通るんでしょうか」
 序盤は人型のアンドロイドの関節極めたりとかサイボーグ化された動物を絞め落としたりしていたが、戦車等が出てきてからは武器の充実等などから使っていなかったのだが。そもそも戦車に通るのかも怪しいし。
「多脚戦車って関節極めやすそうじゃない?」
「アホですか。流石にそんなわけないかと」
「まあやるだけやってみよう」
 敵を掴む際にスティックをぐるぐるする必要はない。近づいて規定のボタンを押せばそれで組み付きの姿勢に移行する。その後押したボタンによって投げたり固めたりと行動が変化する。
 実践。気付かれないように歩きで接近。キャッチ。多脚戦車の足に操作キャラの筋骨隆々の男が組み付く。ナヤカ謹製のエディットである。曰く、やはり荒野を駆けるのはムキムキのおっさんと体に見合わぬでかい銃持った少女であるべき、らしい。このゲームにそのポジションの少女は居ないが。
「ここまではまあ普通にできるっぽいな」
「ほかも色々やってみましょうよ」
「おっけおっけ」
 組み付いた敵に対する代表的なコマンド、投げ。本来であれば掴んだ相手を投げつけ、地面、壁などに接触するとダメージが入る、というもの。
 とはいえ重量が飛び抜けているように見える戦車の類を投げれるものか……という不安を払拭するように、至極あっさりと、男は多脚戦車を投げ飛ばした。
「そういや説明書に投げ成功の有無は筋力依存とか書いてあった気が。いやー、エディットしたキャラに寄せた能力上昇にしといてよかったっすねえ」
「見せ筋にするのは流石にためらうからなあこの見た目で」
「やっぱり筋肉は全てを救うんすねえ」
「あ、でも投げの硬直に入ってる間に囲まれた」
 キャッチから投げの間はそれなりの時間があり、その間は無敵になるものの、敵が行動しないわけではない。
 そのまま三方向より銃弾が叩き込まれ、あえなくゲームオーバー。肩の力が抜ける。
「やっちゃったわ……なんか他のやつやる? そろそろ食事の用意したい」
「ん、じゃあお言葉に甘えて。コントローラー貸してもらっても?」
 ほい、なんて言ってコントローラーを手渡す。ディスクを差し替えたりはしていないのでダウンロード版の何かをやるつもりなのだろう。
 程なくして画面が切り替わった。『ガンナーズハイ』のタイトルロゴが表示される。先程まで寝転がっていたナヤカは今や体を起こしていた。「うっし」なんて言って気合も入れ、臨戦体制。そのままクレジット投入ボタンを押してゲームがスタート。ナヤカは大分このゲームを気に入っているらしい。
「五つ目のステージの動き方教えて下さいねー。あそこうまい感じに動けなくて」
「はいはい」
 ゲームをしているときのナヤカは百面相である。表情が見ていてころころと変化する。大量の弾丸が押し寄せれば真面目な表情になるし、それを抜ければ思わず顔がほころぶ。高速弾が不意に飛んでくれば慌てた感じになる。
 「ここの高速弾いつも忘れるんですよね」
 ばつが悪そうにそう言う。そんな様まで、本当に楽しそうに彼女はこのゲームをプレイする。それに、確かに忘れていたような挙動ではあったが、なんだかんだ回避できているあたりに成長が見られる。流石に序盤のステージは手慣れたものといったところだろうか。 
 流石にずっと見ていては昼食の用意どころではない。ただ、立ち上がりがてら聞いてみる。
「なんでそんなにこのゲーム気に入ってるの?」
 視線を画面に向けたまま、彼女は答えた。当たり前じゃないっすか、なんて前置きをしながら。
「私がここに来て初めてやったゲームですからね」
 自分でもよくわからないがどきりとする。初めてやったゲームへの思い入れはおれにも確かにあるけれども。
「最初にやったゲームクリアしてないなんてさすがにどうかと思いまして」
「ああ、そういう」
 いや普通に気持ちの悪い期待だったなと戒める。
 というかおれは初めてやったゲームをクリアしただろうか。などと思い少し記憶を辿ってみながら、居間から移動する。

 食事を持ってきたあたり。荒野や草原の上空を飛行していた自機は、これまでとは違い市街地上空を飛ぶ。第五ステージの開始である。ナヤカが進めているのは上から二番目程度に難しいルートであり、この辺りからは時に厳しい。覚えることが増えてもくるし。
「ちょ、ちょっと兄さん。この辺りから全然わかんないんですけど」
 最初のラッシュを抜けて休憩地点といった具合の場所でナヤカがこちらに一瞬目を向けてくる。いや飯が冷めるが。残機とか見るにすぐ終わりそうではあるが。
「とりあえずそこは左に寄って編隊落としに行ったほうが良いかな」
「え、でも右の大型機落とさないと弾ばらまかれて詰みませんか」
「あれバラマキに見えて左端には半分以上飛んでこないからなんとかなるよ。編隊は対処できてるから余計なものに挟まれないし」
「……ほんとだ」
 驚き半分と言った風の顔。それに反して、手付きは慎重ではある。この地点はこれさえわかってしまえば一気に楽になる。ただ……。
「そういえばこの次のとこはどうするんですか? レーザーばらまいてくるやつがいっぱい出てくるので、二回くらいやられかねないんですけど」
「あー、そこは今回は突破できないかな」
「なして!」
「いや、あそこはギリギリまで引っ張ってからボム使って敵弾全部消さないとちょっと無理がある」
 仕方ない。第五ステージ最大の難所どころかこのゲーム全体で見てもトップクラスの難所なのだ。出現位置も弾の出し方もランダムな敵がやたら出現するため、そこだけはこれを知っていればなんとかなるという攻略が存在しない。
 強いて言えば今言ったように、ボムを使って弾を消し、切り抜ける程度である。ただ、ナヤカは現状それがない。やられたときの無敵時間を活かして切り抜けてもいいが、そちらもない。 
「まあ気合で避けられれば進めるけど」
「いや無理でしょうあれは! だけどやりますよもう!」
 半ばヤケっぱちである。これはこれで見ていて楽しい。
 ただ、そのやる気は虚しく空振りし、さっくりと自機が撃ち落とされてゲームオーバー。ここ突破できてもボスでやられてそうではあるけれど。言わないでおく。
「うー、悔しいですね。割と抜けるのに苦労しがちだったところ抜けただけに」
「そもそもあのステージ入った時点で残機ほぼなかった時点で大分無理がある気がする」
「そうなんですけどね。まあまだクリアは遠そうですかねえ」
「まあこっちのルートに進んでから結構間もないから結構な上達速度だとは思うけど」
「そうなんですかね? そうならうれしいですけれど、へへ」
事実を言ったまでとはいえ、こうも嬉しそうな顔をされるとこちらも気分が良いものである。
「ま、他のとこも後でまた教えるよ。とりあえずご飯食べよ」
「そうしますそうします。待たせてごめんなさい。あ、そっちの醤油取ってくださいな」

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 タタタタタ――


ガンナーズハイ』
 家庭用ハードより発売されたの2Dシューティングゲーム。縦スクロール。全六ステージ。
 当時は格闘ゲーム、パズルゲーム等で名を馳せていたゲームメーカー『ペンタゴン』より発売された。美しいグラフィックと画面上に映るほぼ全てのオブジェクトを破壊できる点や、繰り返せば繰り返すほど先に進める難易度などから、当時のシューティングゲームとしては異例の売り上げとなった。
 ストーリーとしては侵略された自身の国を取り戻すべく、主人公が亡国の全技術を結集して作り上げた戦闘機に乗って戦う、というもの。国を取り戻すに加え主人公には戦火の中で離れ離れになった恋人を探す目的も存在する。
 恋人がどこにいるのかわからないにもかかわらずオブジェクトを破壊し尽くすのはご愛嬌。母国であろうとお構いなく大量破壊する辺りは笑い話の種。
 
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