メモ帳と隔離所

ゲームとかラノベとかの話をするブログ

WHITE ALBUM2 感想

 Twitterではこのところ「胃が痛い」「助けてくれ」「報われてほしい」だの散々言ってたやつです。お目汚しを失礼。面白いけど不安定になる代物でした。割と劇物。それでいて幸福な時間を過ごさせていただきました。
 感想にはなるのだけれど、最終章は雪菜ルートしか終えていない。雪菜ルートに入ることは決めていたけれど、あれをみたあと即座にかずさのほうクリアしきることはできなかった。いつできるようになるかは正直わからない。
 それなりに前のゲームなため今更ではあるが、内容を凄まじくさっくり言ってしまえば三角関係もの。これまでの積み重ねと偶然が折り重なって集まった最後の文化祭のバンド。曲自体の完成度だったり、それ以外の色んな思惑だったりといったいった暗雲を漂わせながらも、これ以上ないほどに文化祭のステージは成功する。そんな最高に輝かしいシーンから始まり、あとは敷き詰められた爆弾が連鎖起爆していくのに戦々恐々としつつ、しかしその結末を、行き着く先を拝みたいと思わせる魅力の板挟みになりながら読み進めることになる、そんな暴力的なシナリオ。
 飛び抜けて特別なことは起こらないけれど、みなの優しさと、思惑と、弱さとが、ちょっと大きなイベントを発火材にしてとんでもない結果を引き起こす様はもう見事というしかない。読んでる側としてはたまったもんじゃあないけど。
 恐ろしいのは、たとえそれがきっかけだとしても、それが現在の苦悩のすべての元凶だったとしても、あの文化祭の輝かしさを絶対に否定したくないって心から思わされるところであろう。それ故にその先の展開は「どうしてこうなっちゃっうんだろう」と言いたくもなる。そのまま入っていった終章でキャラが増えたときはここから増やすのとちょっと思ったが、個別を見れば閉口もする。進んでほしい手順全部踏み越えてくのだよなあれ。個人的には小春ルートがサブの中では好みだがまあこれはキャラの好みな気もそこそこに。千晶ルートは面白かったしだいぶ凝ってたけどちょっとキャラが合わなかったというかなんというか。真理ルートは一番平和かなと思ってたらあれよあれよといった具合で、かなり楽しんでしまった。
 全体を通して、キャラの活かし方は実に見事。そもそも読んでいる時にこのジャンルで特定の誰かにヘイトが向いていかなかった時点で凄まじい。誰がとんでもなく悪いってことは全体を通して無く、特定の誰かに入れ込むとそういうものが見えてくるかもしれない。そういう意味で、雪菜が合わないと感じる人は多そうなものであると同時に、そこまでは織り込み済みなようで、劇中でキャラに感情移入できないって言われるなどの、散々な言われようで流石に笑った。
 でも冒頭で書いた通り、雪菜ルートしかクリアできていないのであるわけで。全編進めていて、なんかもう報われてほしいって気持ちが凄まじく、サブヒロイン個別ルートの泣き声のたびに余計にそんな気持ちが拡がってしまった。あの頑固で激情家で異様に芯が強くて果てしなくめんどくさい子と、お人好しが過ぎるせいでとんでもない状況作り出す上に移り気でちょっと脆いやつをどうやら相当気に入ってしまったようなのである。あまりにも間が悪すぎるんだよこの二人。あんなの3年も続けてたらそりゃクリスマスのシーンのような爆発もするわ。と思うし、春希も心折れるだろって思うところ。ようやくくっつくのかと思ったら中学生みたいなこと始めるし。
 そしてその果てのライブのやり直し。今度は、これこそはきっと前に進むものだと信じて。停滞した3年間を打破するものだと信じて。そしてまあようやく春希の眼前で泣けたところを見たあたりで感無量である。こんがらがりすぎたものをようやくほどき始めることができたんだなと。
 そしてcoda。輝かしい日々が残したものの最後の後始末。あの頃から前に進むことを選んだ彼らのやり残し。
 なんというか、お互いがお互いを頼りにできる関係になっていくのを見ている様がとても嬉しくて、あとやっぱり雪菜めちゃくちゃ強いよなあとか思ったり。ずっと絶妙なタイミングのすれ違いしてた2人が、ようやく上手く行くようになったのだと。
 あとずっと自分のこと棚に上げて喧嘩して欲しかったって読みながら思っていて、それが叶ったのも実に良かったと。
 というわけで、最高に楽しかったです。またどこかで頭からやり直したい作品。その時は全部やりきることができるのだろうか?

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 この辺も本当に好き。友人二人いいよね。