メモ帳と隔離所

ゲームとかラノベとかの話をするブログ

ハピメア 雑感

 願いや望みが思いのままの夢の世界で少年少女が惑うお話。とことん大満足の出来であった。シナリオ、絵、曲それぞれの完成度はもちろんだが、シナリオと細かなテキストが実に琴線だったなと。夢の世界とか、逃避とか、なんで生きてるの? とか。後単純にこのライターの文章大好きらしい。
 以下は割と感情書き散らしなのでネタバレよりタチが悪いかもしれない。
 上でも書いた通りで、描かれているもの突き刺さるタイプの作品だったのだと思う。夢から覚めるとか覚めないとか、現実から逃げるとか逃げないとか、その辺として、共通での弥生と景子の問答と、景子ルートの透ぶっ叩くシーンがめちゃくちゃ良いよねと思った次第。というか景子ルートが非常に好きなんですよね。そういうわけで以下かなりその辺の話。
 逃げだしたい時なんていくらでもあって、それどころか実際に逃げ出したりもしていて、発破かけられて、見返してやると立ち上がって。輝かしいなと、眩しいなと思う。
 都合のいい夢に逃げることも、現実を良くしようと抗うこともしないなんていうのは、強い人の理屈じゃないかななんて思ったりもしたけれど、話はそこで終わらないし、至った結論が幸福な夢を見るために都合のいい夢終わらせるとか、与えられた幸福なんていらないとかね。
 世界が好きではないけれど、好きな誰かがいてくれた方が世の中マシになる、現実にいてもいいかなってなるし、誰かに心配かけたくないからやる気になる、それでいいと思うのだ。
 ラストシーンに関してはまたちょっと違う感慨があるけれど、自分の言葉じゃなくなって、賛同できる言葉なら叫んでいいんだって言ってくれているようで。
 trueに関しては単純に、救われたから救う、実にいい関係じゃないかい? ってことで一つ。
 
 

裏世界ピクニック 1~3巻 雑感

 
 なんとなく買ったら最高に好物だった。
 てけてけ、八尺様、きさらぎ駅、そんなネットロアが実在する「裏世界」に迷い込んで……といったところから始まる物語。でもって百合。感情こじれまくりの依存度強め。いやはや、なんというか実にわくわくする、させられる。とかく題材が好みに過ぎたのだ。
 そもそもネットロアに心奪われた……というほどまでは入れ込んではいなかったけれど、好き好んで読み漁ったり、ネタにした話を探したりした過去があるのである。派生して民間伝承ネタも好むようになったわけで。
 そこにこれだ。いやもう嫌いなわけがない。流れとしては裏世界にどこからともなく迷い込み、実話怪談を知識やら火器やらで突破して元の世界に戻ってくる。ある意味簡素な流れではあるのだけれど、勢いある台詞回しと主人公視点の独白でやたら盛り上がる。その上相対するものがやべーのは知ってるからどう超えてくもんかと思ってとことん惹きつけれられる。
 そして合間に挟まれる妙に重い感情と百合である。めちゃくちゃめんどくさい奴らを眺めるのは楽しい。空魚さん巻進めるたびに過去を重くしてくのやめない?
 というわけでまあいろんな側面から楽しませていただきました。早く続巻でないかなと。

 

 

 

 

 

裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ (ハヤカワ文庫JA)

裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ (ハヤカワ文庫JA)

 

 

BEATLESS 雑感

 一気に駆け抜けてしまった。ちょろい。
 
 ロボットの性能が人間を上回ったから数十年。人がやる必要があること。人がやるべきであることが次第に少なくなっている世界で繰り広げられる、人間とロボットのボーイミーツガール。
 正直軸になっているものは結構あって、一発読みではまとめきれてないところがある。思いとか心がないってことに対する問いかけであったり、あるいはロボットの側が人間を操作するようになるって危惧であったり。ちょっとこの辺は改めてまとめたいから再読予定ではある。
 とかく気に入ったのは主人公であるアラトの在り方と、彼に対する周囲の認識の描かれ方であったと思う。特別な力なんてない。むしろ考え足らずだし、作中でも散々言われてるくらいにちょろい。しかし、わかりあえると信じて、何にだって手を伸ばして、どうしようもないほど青臭くて輝かしい主人公が大変よかった。周囲の人間がそれでこそって肯定してくれたりとか、未来の形かもしれないなんて言ってくれるのが重ねて良いな、と。
 でもってエピローグ。これしかないってラストではないか。いやもうそうとしか。こうじゃなきゃいけないのだ。

 彼は信じて、彼女は信頼した。”かたち”しかないからこそ、この結末があったのだ。


 ……ところでレイシアの「”かたち”が意味を揺さぶる感覚が、わたしにとっての、アラトさんとの繋がりなのですから」ってセリフ、ちょっといじらしすぎませんか?

読んだもの雑感

 モノクロの君に恋をする
 好きなものをゴリ押してくるというか、これが好きなんだってぶつけてくるような作品はいいものである。話としては正直ありきたりだけれども、勢いに飲まれて気持ちよく読み切ってしまった。なにか書いたら買いそう。

 聖なる怠け者の冒険
 森見登美彦おなじみの京都舞台のドタバタ活劇。怪しげなキャラと胡乱なイベントが飛び交い、意味不明なままスケールが肥大化し、不意に美麗な景色を映し出されて異様なまでに綺麗に着地させる手腕は相変わらず見事。
 ラストの京都で惑うシーンの筆致の美しさといったらない。良質な喜劇はいつだって良いもんっすね。
 
 シュタゲゼロ
 アニメの方。正直観るまではだいぶビビってたところがあるのだけれど、観たらまあ杞憂だったなと。展開はちょっとグダってるところあるかなとは思うけれど、やっぱりおれはこいつらが好きなんだなって再確認になってよかったと思う。きれいなシーンは最高だったしね。

 狼と香辛料
 時間かけてちびちび本編とSpring Log1読み終わり。大変楽しかった。
 物語そのものの構造もさることながら、キャラの造形と取り回しが抜群にうまい。 二人旅のところに参加する三人目の立ち位置がこんなに上手いことあるかと思う。むしろ来てくれないかと思ったら本当に来てしまった。それ以外にも登場するキャラの扱いがいちいち上手い。本筋もつまらないはずがなく、移ろうもの、消えゆくものにン対する手付きとして大変良かったのではないかと。

 まちカドまぞく
 アニメで謎の言葉選びにあてられて原作をまとめて買った。セリフ回しが良いどころかグイッグイ動くシナリオとやたら強い百合で大変なことになった。単にギャグ調の4コマを読みに来たつもりがとんだ裏切りを受けたものである。もちろんいい意味で。

 

 FEとかもハピメアとかもやってるのだが前者はまだ1ルートしかやっておらず後者はFD終わったらにしようかなと。物語シリーズももう少し読んでからにしようかな。

 あとは「ささやくように恋を唄う」とか結構楽しみにしてる。「プリズム」は神林長平やりたい放題で楽しかったしもう一度読みたいってところ。

黄昏のフォルクローレ 雑感

 時は開国より数十年。主人公の有馬とヒロインすぴかの主従をベースに繰り広げられる伝奇ものといったところ。単純に好みだと思っていたのだが、その実想像以上に楽しんでしまった。navel系列、テキストがあまりにも強すぎる。
   最初のうちはいつも通りのようでいて、少しずつ緩やかに変化していく関係を描いた話、としての側面が強い。とことん2人の物語って部分を押し出して来て、冒頭から居心地のいい糖度高めの会話に振り回されっぱなし。当然ながら物語が進行するほどに強まってくので、否応にも目を離せなくなる。いいですよね距離感バグってる主従もの、最初からあまりにもバグってて頭おかしくなりそうだったけれど。だんだんとこいつらめんどくせえってのも明らかになってって楽しいことこの上ない。
 というわけで、主人公とヒロインのお話として大変出来が良かったです。この方向性で次回作出してくれるならめっちゃ買う。
 というか関係性描き出すための設定の組み方が巧みすぎる。どうなっている。

天気の子 感想

 とりあえず、実にいいものを見た。こんなもの叩きつけられては否応なしに気分も良くなるってものだ。観てる途中のテンションは最高潮だったし、終わった後は気持ちよくチャリを立ち漕ぎして鼻歌混じりに帰りましたよええ。
 以下はネタバレ
 
 さて、何のことはない少年と、世界をどうこうしてしまいかねない少女と世界と社会とが織りなすような作品。最後には大抵どうしようもない別れに至るようなそれに狂わされてどれほどが経ったのか。
 前半の全能感と打って変わって、後半の展開はまさしくといったところになる。あのどうしようもなさとやるせなさ言ったら何度覚えてきたことか? 逃避行の果ての切な願いの痛々しさはどうだ? そんな知らないはずがない展開を打ち出された後の最終局面。警察署からバイクで逃げ出して、傷を追いながら有刺鉄線を飛び越えて、電車のない線路上を走り抜けて。最後に世界も周囲も自分たちのために投げ出して手を伸ばすシーン。多分ずっと求め続けていた、原風景的でありながら決定的に違う一連の映像の気持ち良さと言ったら! あのシーンをあれほどまで密に描き出してもらって、これ以上の感慨なんてあるはずがない。あるはずがないのに、まだ上乗せしてくるんだからたまったもんじゃない。帰還して寝転がってる姿と、世界がどうにかなっても案外回っている絵と、投げかけられた言葉と、最後の坂道とで感情が振り切れてしまった。        
 
   ああそうだよ、おれは世界なんかより少女を救う話を観たかったんだよ。空に帰っていってほしくなんかなかったんだよ、と。
 
 この作品が生まれたことと、今でもこんな作品が掛け値無しに楽しめることがこの上なく嬉しい。きっと10年後も好きな作品って言えるだろう。
 
 あとは蛇足的に。
 
 感想とか漁ってると大抵なんらかのものを見出してる感じがある。まあこちらもイリヤの空見出してしまってもう大変ではあったのだが。当たらない銃弾ってのがもうね。
 
 書くタイミングは失したけど曲はだいたい刺さってる。グランドエスケープのサビの歌詞とか、少年少女的な全能感の切り出しか些か上手すぎると思う。
ところで、正直なところエロゲに関しては正直周回遅れでやっているため、「セカイ系エロゲ」なんてものが実在したのかわからない、タイトル上げてるの見つからないし……keyは違うと思うし……。

イリヤの空、UFOの夏 雑感

 中学2年の夏休み中、ぶっ通しで先輩のUFO調査に駆り出されていた浅羽は、最後の夜に一人で学校のプールに泳ぎに向かう。そこには先客の女の子がいて、あれよと言う間に泳ぎを教えることとなり、そして女の子の手首には金属の球体が埋まっていることに気付き……
 そんな冒頭から始まる物語。その後転校してきた女の子、伊里谷やハイスペックで奇人な先輩、水前寺が主に話を振り回す、夏休みの延長戦のようなドタバタ活劇。原チャリで突っ走ったり、マイムマイムを踊ったり、大食い対決を繰り広げたり、といったイベント群を驚くべき解像度で打ち出してくるその手腕は実に見事で、きっとこの夏が終わらなければいいと、真に思う。思わざるを得ない。
 だからこそ、最終巻で描かれる終焉が、死に向かう夏が、帰還の後の長袖のシャツが痛々しくてどうしようもない。序盤のひどく脆い全能感から絶望的なところに転がり落ちていくあたりも、わかっていたはずなのにやるせなさが凄まじい。タイムマシンのあたりとか表現やシーンの綺麗さも相まって感極まっていた、頼むからどこかに救いよあってくれって思いから生まれた空想と、南の島の幻想が重なってしまって目を背けたくもなる。
 ただ、何かを成すかどうかは別にして、それでもあがいたことは間違いじゃないはずで、そんなどうしようもなく少年だった彼と不可逆の夏のお話。
 今でも鮮明に思い出せてしまうあたり、その印象がいかに激烈であった事かと思ってしまう。本当に良い作品であった。
 もうUFOの夏はこないけれど、UFOの日は今年もまた巡ってくる。