efの原作にファンディスクが存在することを認識してはいて、そこにアフターシナリオだけではなくアナザーシナリオがあることも知っていて、ただあの物語にそれを求めるのはなにか違うような気がして触れないことにしていたのが、アニメを見た当初で。一方で、観てみたい光景であったことも事実で。
それからしばらく経ったもので、いつしか輝かしいと思っていた物語の記憶も少しずつ薄れてはいたのだけれど、先日原作ゲームに触れたら懐かしい記憶とともに勝手な願いが再び呼び起こされて、いつかの御託の尽くを無視したくなったものだから。
というわけで、efのファンディスクである「天使の日曜日」。構成としては本編のアフターシナリオから、どこかでなにかが変わったアナザーシナリオの流れ。ファンディスクということで、ボリュームはさほどでなく、分岐もないので10時間もかからない程度。
読んだ上での言葉は感無量で、ef本編を超えた上で手を出すか迷っているなら、後悔しない物語であるとは。
10年前の作品にネタバレも何もないだろうとは思うところですが、以下は含みます。
まあなんというか、アフターからアナザーへと至る道が、とてつもなく良かった。アフターも彼ら彼女らのその後を覗き見ることができただけで嬉しいものなのだけれど、その後のアナザーの導入として素晴らしく。
叶わぬとわかっているし、それが実現すべきとも思えない読み手の願いと、考え方も何もが違う登場人物が奥底で秘めていた願いとが重なったときのシンクロ感というか、この感覚をなんと言えばいいのだろうか。そしてちょっとした夢ではあるけれど、それが目の前に現れた瞬間の喜びといったらなくて。アナザーの導入はそういうもので。そこから描かれる三つのアナザーシナリオは、どこかで降りかかる悲劇がない、故にこそ驚くべきことなんて起こらない世界で、それがどうしようもなく嬉しい。優子アナザーなんてクリスマスの教会で想いを交換できただけで、そしてその10年後も二人での夏のクリスマスを過ごせているだけで、どうしようもなく。
もう2つのアナザーも単純にラブコメとして出来がよく、どこかで物語が分岐した際の間違い探しとしても率直に楽しいものでした。水姫かわいいな。これは正直もっとみたかったところではある。
というわけで、本編共々楽しませていただきました。