毎度ながら今年のまとめ。プレイしたものから私が楽しかったものをいくらか。
タイトルは以下。特に並びに意味はない。
小説・ラノベ
- 冬の旅人
- 境界線上のホライゾン
- 吸血鬼に天国はない
- 教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?
ゲーム
- 霜夜ゆく
- 月姫 -A piece of blue glass moon-
エロゲ
- Re:birth colony -Lost azurite-
- アオイトリ
冬の旅人
幼い頃に心を奪われた絵に惹かれるまま画家を志し、ロシアへと向かった少女、環の一代記であり、帝政ロシアのの終わりの物語であり、幻想や神秘と、そのようなものでどうにもならない世界の動きもまた描き出した小説だった。芸術小説と時代小説と幻想小説の要素があり、うまい感じに混ざっているというよりかは、ちょっと雑然としているけれど、それがかえって先の展開をわからなくしている感じ。
とにかく環境は目まぐるしく変化し、物語も予想もしなかった方向に転がり続けていくものだからみているこっちはハラハラものだった。
登場人物の有り様からも目を離せないもので。狂ったなんて言い方すらされるほど、静かにズレた感覚を見せてくれる環を始めに利己と利他のどっちつかずっぷりがどうにも人間臭いヴォロージャ、全体的に厳しい世界での癒しだったソーニャと。
今にして思えば、シベリアでの3人暮らしがひどく懐かしい。
凄まじい物量を誇る歴史SFファンタジーラブコメライトノベル。もう全部ある。あった。
圧倒的な物量を全陣営のキャラを魅力的に描くために使い切ってくれるのだから、こちらとしては乗るしかないというもの。もう笑って泣いての大満足でした。熱かったシーンも好きなキャラも挙げ始めるとキリがなく、なんともまあ、言い尽くせない。
読み始めは癖はあると思うところだけれど、長く楽しい戦いを約束します。
吸血鬼に天国はない
一次大戦後くらいっぽい頃の、マフィア同士の抗争が絶えない街で吸血鬼と同居する少しばかりキザな言い回しが魅力な異種族ディスコミュニケーション話。
浪漫回路を刺激してやまないシーンが多々あって素晴らしい。建物やトラックが落とす影を縫うようにドライブしたり、好意がおかしな方向に吹っ飛んだりおかしな解釈になってしまったり、ちょっとのサプライズ感で贈り物をしあったりと。もうキメッキメ。個人的な今年のおすすめとしてはトップなのだが、新刊はまだかな……。
教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?
塾講師とライトノベル作家の二足の草鞋なライトノベル。完全に好み枠で、手放しで褒められるわけではない。概ねリアリティラインに対する倫理観とかキャラのノリがおかしくて大丈夫か? となるせいではある。
ただ、調子のよい会話劇に時折混ぜてくる毒と、「そこ切り込むんだ」と思わせる展開とでぐっと掴まれてしまった。才能のも物語として誰かに追いつこうとする叫びも、才能ではない物語として諦念と在り方の再定義も、実によかった。おすすめと言うのは難しいけれど、なんか痒いところに刺さってしまってしばらく抜けなさそうではある。
霜夜ゆく
冷たい判定式をなんとかして乗り越えてやろう! なゲーム。そのために宇宙船の荷をへらしたり最適行動探ったりその他諸々をなんとかするのだ。
導入で掴まれたけれど、ゲーム自体も行動変えながらの試行錯誤を楽しんだり、各種アイテムのフレーバーテキストや使用時の反応もクスりとさせられたり、微笑ましいものもあったり。ヒントの出し方も程よくて、詰まりすぎることもなくクリアできたところ。記事にも書いたが、好みのシナリオと好みのゲーム性がくっついていてまあ最高だったという。
月姫 -A piece of blue glass moon-
本当に出て普通にびっくりした。ちょうど去年の今頃が第一報だったか。まだ先とは聞いてるけどサプライズで来年くらいに出せますとか言われたりしないかなあとか思っている。
中身は流石の出来栄えといったところで、シナリオはもちろん演出がハイレベル。
しかしまあ漫画版しか月姫は触れていなかったのでシエルルートは普通に恐る恐る進めていたいうか、きのこ本当にプレイヤーの疑心暗鬼煽るのが上手いな……と。
Re:birth colony -Lost azurite-
フェイクアズールの続編で、内容はかなり前作前提。森崎亮人シナリオの中でトップクラスに好きに躍り出た。
やりとりが実に軽妙な上にらしいもので、大詰めも実に熱いときていた。
どうしてもテキストとキャラの動かし方が好みで、そちらの話にばかりなってしまう。本作も打算で動いてるんだよと公言しながら他者の喪失だったりに人一倍敏感な主人公であったり、やたらとこう権力とか能力とかメンタルとかが強いヒロインの話を追うのが楽しいったら。しかし森崎亮人やっぱりイリヤの空大好きよな。シュガスパでもパロディ結構出してたし。
Purple Softwareこの手の薄ら暗い雰囲気のゲーム作らせたらすごい。そんな頻繁にはやらないけれど。シナリオは王道をなぞっていくところではあるけれど、キャラとテキストが小気味よく読んでいて飽きない。立ち絵やCGも雰囲気に合致し、見入ってしまうものが多かったりとで、全体的な出来がよい。
あとあかりが時折見せる表情が実によいと思う。よくない。
今年もなんだかんだで楽しく色々読んでいけたものだし、来年も良いものに触れられればいいなと思いつつ、今年を締めようかなと。
割とギリギリまで書いていたの誤字とかありそうだから修正発生しそうなもんだがそこはさておき。