どうも特別に書くことが思いつかなかったりする回。そういうこともあるってことでひとつ。
相変わらず要素の全容が明らかになった際の重ね合わせの気持ちよさが凄まじい。普通に最悪のピタゴラスイッチをご覧ぜよといった具合。予想自体は立つけれど、それと事態が繋がらず、ああでもないこうでもない……などと思っていたら突飛な接続をされて肝を抜かれる。
シリーズ通して、単純に物語通して「人が主に決まってるだろ」ってあれこれも好みポイント高い。今作は悲願には違いがないってので全てひとまとめにしてくのは決まっていたと思うところ。
おまけ的にちょっと面白かったところでとして、魍魎の匣の冒頭で出て明白に深堀りはされなかった前世の話はこっちのほうが強く出ていたような感触があり。
・『すべての、白いものたちの』 ハン・ガン 著, 斎藤真理子 翻訳
連続性のあるショートショートというか、半分詩集のような作品。変わる変わる違う扉開けてくみたいな感覚がある。
汚れのなさ。あるいは覆い隠すことによる厳かさとかの白の印象とかを背景に、現実と内面の狭間を揺蕩うような文章を読ませてくれる。どうも私は幻想小説が好きというより、現実とそれ以外の境界とか、それを踏み越えるのか越えないのかって話が好きであるようで、先月魍魎の匣読んでなんとなく思ったのがこれで明白になったように思う。境界からそっとどちらかに軸足をずらすような感覚、あるいは世界から自己にズレる瞬間がたまらないのである。
そして別に上記の話とは全く関係なく、『米と飯』はいいなと思いました。単純な感覚の共有っぽさがあって。
・『Iの悲劇』 米澤穂信 著
ミステリ結構読む期間続いたので、一旦原点の中での原点である米澤穂信作品読むことにして、なんとなく近作を読み返すことにした。そしてたまには性格悪い米澤穂信にしようと思って近作の中で最も性格悪い記憶があるものを再読。
長年青春の只中にいる少年のメンタルをボコボコにしてきた作者が、くたびれ気味ではあるが真面目な公務員のメンタルをボコボコにしにかかるのが本作といったところ。居住者がいなくなった集落へのIターンキャンペーンとその顛末を描いてのけます。
正直導入の重さがもうどうしようもなくて読み返したことを若干後悔したが、ラストシーンの凄まじさそのあたりが全部吹っ飛んだ。読んだ当時と変わらない鮮烈さで迎えてくれたものである。こんなはずじゃなかったがだったらどうすればよかったのかと。ままならねーですと笑い飛ばすことも許さないまま幕を閉じるのが本当にらしいと思うのだ。
・『放課後帰宅びより』(1~3巻) 松田舞 著
小学生みないな価値観の先輩とのラブコメ。本当に小学生の感性のまま交流するの笑った。
ラブコメっていうのは起きた時に馬鹿がよとぼやきがでる夢のようなもので、つまりこういうのでいいんです。
それはそれとして主人公の誰でもよかったんだろうな……からめちゃくちゃ味がしたり。それまで矢印向いてなくてあの態度だったの? マジで? な一巻終わりだったり。傘の話ちょっとすごいよこれはとなったり。いちいちイベントが魅力的なのがいいなって。
・『リバー、流れないでよ』 山口淳太 監督
かなり久々に映画感想入る気がする。そして今回から作者名とか併せて書くようにしたけど映画ってどうするのがいいんだ? 監督? 制作会社?
1ループの感覚が2分しかないって一種出落ちっぽい導入から飛んでくるのが面白いのはずるいじゃないですか。
ループの感覚が短すぎることでのドタバタ喜劇で笑かされてからパニックへの切り変わりがシンプル愉快で見事で、この頃には完全に引き込まれちゃってるし、そのままループものの味と言える展開全部さらっていくのだから実に見事だなと。素直に満足度が高かった。
・『メタファー:リファンタジオ 』 アトラス
治安が終わったファンタジー世界で政権ぶんどるために奔走する話とアトラスが好きな人々へのファンサービスに溢れかえったゲーム。あまり細かく言うことでもないが後者の部分が強すぎて楽しくなり、正常な評価が下せなくなっている。
ゲーム自体はペルソナ的なカレンダーとコミュシステムであり、真新しさはないものの最新作だけあって遊びやすくなっている感触。戦闘システムは女神転生のプレスターンと全員がある程度自由にクラスを切り替えつつ進める点が特色。ペルソナのように戦闘中切り替えはできないけど、代わりに全キャラでできるよって塩梅。
まあ楽しかったところは色々あって、生臭いものを全部片付けて最終決戦の流れに持って行くのは気分よかったり、過去アトラスゲーのファンサービス多めってわかってくるとあれとかこれもか……みたいになったり。新作としても記念作品としても満足である。
今作は明白な恋愛イベントは無いが、ユーファは結構ヒロインムーブしてて好きだったりもした。距離詰めるの爆速の子好きなのかもしれんね。ガリカはヒロインポジのピクシーって感じで、そんなところも旧作踏襲するのかと思ったり。
シンセミアのライターってことで手をつけた。田舎街の洋館舞台な伝奇で、エロゲらしいエロゲではある。
シナリオ的には化生には化生の論理があって、それ特有の善意とかあるよねみたいな。色々見ていくとバッドエンドがの一部が誰にとってもバッドだったりするのがわかるのは面白かったりはする。あとは語りにちょっとメタフィクション的な楽しみもあったりとか。
一方で基本的に洋館のみで話が回るせいか、どうにも単調な印象はあったりとか。ヒロイン勢からの好感度が最初から高いのと、みな立場が近かったりするのもあってルートごとの変化は乏しく感じたのもあるかもしれない。全体的な興味深さで話回していたような読み味だったというか。
演出的なところはフローチャートの日記の追加とかテキスト震える演出とか、あとセーブ時のペンの音とか好感度高い。細かいながらかなり雰囲気出すのに買っていたと思う。あとリリーバッドのCGとてもよかった。仄暗さがたまらんぜ。
ざっくりまとめると面白いところは面白かったのだが退屈なターンもそれなりにあったなって具合。





