メモ帳と隔離所

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吸血鬼に天国はない 雑感

 漠然と好みの真ん中を突いてくるもの読めないものかと日々あれこれ探しているのだけれど、当作はそういう意味で大当たり。
 マフィア同士の抗争が絶えない荒んだ街で運び屋を営むシーモアは、仕事のトラブルから吸血鬼の少女であるルーミーと同居生活をすることになってしまい……といった粗筋のライトノベル。ちょっとキザで遠回しな描写でもって描かれる運び屋の主人公と吸血鬼の少女の同棲生活に、こういうのが好きなんだよこういうのと思いつつ読み進めて。描かれるエピソードが見事に突き刺さるおかげで半ばからひどいことになった。
 特に気に入ったシーンを挙げるなら主人公の運び屋としての切欠となるキューピットの真似事とその顛末になってくる、それを踏まえた上で撒き散らされたペンキであったり。
 あとは寝ぼけてエンジンかけるシーン。ああいうのに弱い。
 扱われるテーマ自体は、中盤以降に描かれる笑い飛ばせないような吸血鬼の怪物性というか、別存在性であったり。粗筋と同様にどこか見た風で、ただそれまでのシーンを見事に重ね合わせて至る結末は膝を打ちたくもなる。読み終わって大好きと叫びたくなる。現在4巻まで出ているそうなので今後も楽しみにしつつ。
 万人受けする話ではないと思うところですが、ちょうど今kindleセールもしている様子なので、いかがでしょうか。

 

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)