水葬銀貨のイストリア 雑感
不思議な作品であった。掛け値無しに面白かったとは言い難く、好きな作品かと言われれば首をかしげる。しかしながらつまらなかったと断じることも出来ず、微妙な作品と言ってしまうことは間違いなくできない。物語を噛み砕くこともできていないと思う。全ルート終了後になんだかなんとも言えない違和感があって、クリアしてそれなりに経つのだがそれが抜けていない。だから今ちょっと書いている。
シナリオ全体を取り巻くのはどうしようもない重苦しさだった。それも段階を追って増していくタイプのそれ。雑な言い方をすれば詰んでるし、プレイ側としても正直凄まじく疲弊する。このゲーム選択肢自体は少ないんだけど、最初の選択肢なんかはどうしようもなさの象徴で、あれはほんとうにどうしろとと言いたい。というか本当に共通に関してはこれが良かったというよりここがしんどかったって記憶が非常に強い。明るいなんかもあったはずだけれど塗り潰されてる。個別もあの選択の後なこともあって、重苦しさがそれほど抜けない。妹ルートはなんとなく吹っ切れてて結構好きだけど。てかこの妹が結構好みのキャラなのかもしれない。
語るべきなのはトゥルーだろう。正直どうやって畳むのかと思っていたここまでの話を一気に纏めてくる。正直ここまでとは思っていなかった。その中で本物とか偽物とか、依存からの脱却とか、そういったものに答えを出していく。
ただここも開放感だけがあるかって言うとそう言うことでもない。意地の悪さが見え隠れするというか。それとは別に正直回想多用しすぎて間延びしてる感がなくもなかったというか。もうちょっと個別に回してあげても良かったんじゃないかなあ、と。盛り上がりもそれを補って余りあるって言えるかはやる人次第。人を選ぶ作品には違いないし、刺さる人には刺さる。そういう意味ではこの手のゲームらしい。
不満点ばかりつらつら並べてしまったようではあるが、主人公達の苦悩とその回答の物語として非常に楽しくはあったし、続き見たさで駆け抜けてしまったりもした。好みとかそういうものを超えていつかまたやりたいとも思うし、誰かと話をしてみたい作品でもあったのでやってくれる人が増えればいいと思う。理不尽に放り込まれて足掻く物語が読みたい人には強く勧めたいところ。こんなライターもいたのかと思ってしまう。少なくともこれだからこういう作品追うのやめられないんだよと感じたことは確かだ。
とりあえず冬あたりに出る同メーカーの作品は買いたい気持ち。しかしこの記事言葉足らずだよなと。あとは私自身トゥルーエンドってものをそんなに好んで受け入れてないのかな、とも。
「青春ブタ野郎」シリーズ 1-5巻雑感
不意にアニメ見て思い立って不意に原作読んだので。この前もちょろっと書いたけど個別書きたくなってしまった。あといつも以上に散文。自分でも何いってんだって感じ。
作品に何を求めるのかというと色々あると思う。個人としてはいい感じテキストと好きになれるキャラクターがいれば楽しめる。そこにそれなり以上のシナリオが乗っかってれば万々歳。
ただやっぱり、良いものだからといって何もかもが好きなわけじゃない。じゃあ好きなテキストってなんだよ、って話にもなる。しかし何もかもが好きではないとはいえある程度好みが散っているから、一言では語れない。一言どころか完璧に言語化できてすらいないだろう。
ただ、このシリーズは好みのうちの一つに合致したといっていい。いやこの手の痛々しさが溢れてくる文章久々に読んだよね。
とはいえそれだけってわけでもないのでなかなか。全体的に、シンプルに展開が気持ち良い。というか好み。先輩の両親に啖呵切ったりとか、先輩と見知らぬ街に行ったりとか、この時点でだいぶ最高じゃねえかって感じだった。そこに一巻の最後の方の痛々しさを盛大にバネにして愉快な展開ぶちこんで来るのだからたまらない。それに会話のセンスは非常に良い。なんか安心感がある。とても楽しい。
一巻はこんな感じではあったけれど、2巻からは結構閉塞感とか居づらさみたいなものやら高校時代のどうしようもなさとかも放り込んでくる。これはこれで良くて、根暗だからやっぱりこういう話好き。やはりオタクがオタク向けに本気出して書いてる話は楽しいんだよな。痛々しさとどうしようもなさと救いがいい感じに混ざり合っている。あと不完全性みたいなもの。こういうのでいいんだよ少年たちなんだから。
それでも生きていくしかないのだから。必死に何かを迷ったり頑張ったり逃げ出そうとしたり立ち向かったりする。正解ではなかったとしても、そうして手にした何かはきっと価値がある。綺麗な空想ではあるけれど、おれはこういうものが好きだったなと立ち返ることもできた。非常に満足度が高い。
キャラの造形も非常に良い。なんか安心感あるっていうか暖かさがあると言うか。いや、正直最初は大丈夫かって思ったけどなんか進むごとに好きになる。何から来てるんだこれ、距離感とか台詞回しとかあるんだろうけど。実際キャラのヘイト管理とフォローがかなり上手とは思うのだが。
とりあえずこんな感じで楽しんでたのが4巻まで。
で、まあ5巻である。
してやられた。
これまでの積み重ねから抱いていたものを一斉に叩き込まれる感覚。いや、ほんとにやってくれる。
どう言葉を繰るべきか正直まだわからないけれど。てか今回本当に文章まとまってないな……。
好きな作品の話を適当に
題名の通り。思考書き散らしと思い出となんか。最近読んだのも懐かしいのも
GCのやつ。FEで一番周回してるやつでもある。シナリオだと聖戦が好きだけれどシステム面の遊びやすさとかはこっちかなと。なんというか、遊び方の多様性があるんだと思う。主人公は絶対に育成しないといけないけれど、他はだれを育成してもそれなりになってくれるし、ボーナスEXPと錬成武器、スキルの書で割と偏愛とかもしやすいし。錬成はこれ以降も何かと登場するけど良いシステムだと思う。まあ大体威力限界まで上げてちょっと命中いじるくらいで終わるのだが。ボーナスEXP最大値狙いプレイとか見たくはある。やりたくはない。
これに限らずFE全般そうなのだが、おれが遊ぶと飛兵を無駄に育成してしまう。今作もその例に漏れず育成する。攻撃後再移動と救出関係で便利すぎるし単純に強いキャラ多いし。
武器の重さなんかが見直されたのもこのへんからか。おかげでイレースがサンダーストームを重さ補正無視して振り回してくれる。たのしい。
それはそれとしてバーチャルコンソールとか来ないかな。そろそろwii出すのが億劫。
この商品紹介楽でいいな
FEも好きだけどこっちも好き。これまたプレイスタイルの幅が広くて何度もやりたくなる。そして知識を得るほどに楽ができるようになってくのが気持ちいい系のゲーム。
そして再プレイするたびにエルバートとアイギナをやたら乱用してしまう。クリスもなんだかんだほぼ使ってる。エルバートは挑発はもちろんだけど基本性能高い騎士ってのもあって結構なんでもやらせることできるし。中盤から増える石弓兵の対処半分くらいは彼がこなしている。あいつら動かさないに限るけど動かさざるを得ない場面も多いもんだから。アイギナは雑な大砲。あんまり大きい数字が出ないゲームで消し飛ぶ相手の体力ゲージを眺めるのは楽しい。ちょっと前衛に突っ込ませないとCCが遠いのは難点だけど低レベルストームとか加護地雷とかスリアナカス当てで頑張ろう。ストームが正しい意味で使えるようになるまでに風技能20くらいが目安。クリスはもっと使い勝手のいい代わりに通らないシーンが結構ある大砲って感じ。アイギナが騎士系潰すウーマンならこっちは弓兵潰すウーマン。まあたまに強武器振って騎士も潰すけど。
ここまで書いてこのゲーム無限にキャラ語りができてしまうことに気付く。すげえゲームだやはり。みんなもやろう。
正直楽しかったけど未完成というかもうちょっと欲しかった感じのゲーム。テキストは良かったしところどころの熱量も凄まじいものがあった。共通の雰囲気も非常に好みだったし。ただ受けねえよなあって展開も結構あったし、ルートごとに設定微妙に違うのでどうしても首傾げることになってしまうし。抱えてた問題が割とすんなり解決しちゃったりとかの減点要素も結構多いゲーム。加点要素も結構多いだけにもったいねえ。
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
昨日の時点では別に書く気はなかったどころかそもそも読んでもなかった。正直タイトルで敬遠してたし。アニメ化に乗っかったのは間違いがない。だって2話が良かったんだもの。おれはああいった展開に弱い。そして特急で買って読んで今書いてる。
中身としては実に学園もののラノベって感じ。痛々しさとどうしようもなさと弱さ重点。嫌いな人は嫌いだろうとは思うけどこういうの好きだから仕方ない。むしろ最近この手の触れてなかった気がするため安心感すら覚える。もっと足掻け少年たち。でも高校時代には読まなくてよかったと思う。
あと信頼のゴリ押ししてくるヒロインは好みです。あと主人公も痛々しいけど好みです。
「咲田が隣に寝てるくらい、なんともないもの」
「いいことを聴いたので、次の機会には色々と悪戯をしようと思います」
「実際、何かする度胸なんてないくせに」
ここの会話とか実によかった。全体的に会話は気持ちが良い。
あと単純な話をすると記憶ネタには弱かった。もうどうしようもなく。それと最初の方の痛々しさバネにしてくるのやめろって。読後感最高だからな。あとくっついたところから続く話が基本大好きなので続きも買います。
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 『青春ブタ野郎』シリーズ (電撃文庫)
- 作者: 鴨志田一
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2014/09/09
- メディア: Kindle版
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Summer Pockets 感想
とにかく良かったと言わざるを得ない。いやうん、これはもうしょうがない。作品終わってから溜め息出る作品は実に自分がのめり込んでいたかの証左であるし、はっきり言って終わってから大分無気力って感じである。別の作品摂取する気にならない。まあやるけど。ショック療法的に。
そんなだからあんまりブログ書こうってつもりもなかったけれど、なんか何も書かないのもなんかなーって感じで今に至る。
さて、内容の話に移ると、徹頭徹尾夏休みゲーであった。もうこれに尽きる。もうなんか行われるすべてが夏休みなのである。すべてが楽しくて、それは永遠のようでいて、けれども間違いなく永遠ではなくて、それがどうしようもなく眩しくて。懐かしさだけでも泣かされる。ほんとkeyそういうとこやぞ。正直最初の方の浜辺でしろはと会話してるシーンだけですごく良い。あのテキストが出せるのならこの界隈あと十年は余裕だと思ったし、これは間違いなくkeyのゲームだって思え瞬間でもあった。
それは個別に入ってからも変わらなくて、すごく楽しくて、懐かしさがあって、間違いなく幸福な時間を過ごせたという他ない。
まあ、もちろんそれだけで終わらないのがkey作品で。泣けたかと言われるとまあどうしようもなく、ぼろっぼろに泣かされました。はい。いや、これすごいよ? どうにも望ましい言葉が出てこないのが歯がゆいのだけれど。禁断症状でクリアしたのにサマポケやりたいとか言い始める程度には。
というわけで、いい作品でした。みんなもやろう。あとファンディスク待ってます。その後を見るの大好き星人なので。
以下攻略順の個別ルートの話。ネタもバレるかもしれない。蛇足もいいとこ。でも書く。自分の中で整理もつけたいところあるし。
紬ルート
凄まじくkeyの遺伝子継いでるなってなったヒロイン。最初にやるべきは蒼じゃねえかなーとか思いながらつい突っ込んでしまった。結果から言って最初にやるには破壊力が高すぎたと思う。出来が良すぎたというか、本気で泣かしにきていた。ずるいんだよなこういうの。
蒼ルート
頭がピンクなちょろい子。いやみんなそういう反応になるだろ。でも可愛いので許される節がある。
シナリオ的には世界観説明っぽい感じ。最初にやる感じ。泣けるというより甘いより。ラストシーンとか砂糖吐きまくる。
鴎ルート
シンプルに出来良かった。読んでて気持ちが良かったし、積み込まれてた仕掛けも綺麗なもんだったし。何より一夏の冒険ってのはやっぱりいいものである。
最後はほんの少しぼかした表現してたのをいいことに都合よく解釈することにしている。おれはおれが気分良くなるためにゲームやってるのだから当然である。
しろはルート
満を持して突っ込んできたやつ。しろはさんちょうかわいい。こんな感じに色々積み重ねて、心を開いていってって話はやっぱりいいよねって感じ。この夏スイカバーの売り上げ上がりそう。
とはいえ正直ちょっと物足りないというか、そこまでしか展開しなかったかーという感じ。
ALKA
しろはルートが終わったと思ったらしろはルートが始まっていた。物足りないとか言ってすみませんでした。
あまり多くは語るまい。ただやっぱり疑似家族ネタは最高だったとだけ。
続く最終ルートは結構しんどかったけど。正直あのCGを見せた上で思ってた展開にならなかったから割とどうなるんだって思いながら見てた。で心折れかけた。
でも、だからこそ、最後の最後で見せてくれやがってからにって感じ。本当に良かった。
ただほんの少しだけ言うとすれば、七海のラストシーンでお父さんについてはほとんど触れてくれなかったりはちょっと寂しかったです。あと投げっぱなしになってるものが無いわけではなくて、そこが少し心残りではあった。
月に寄りそう乙女の作法 雑感
延々と遊んでクリアしてしまった。大変に気分がいい。
正直に申し上げて名作である。エロゲオールタイムベストがあれば選出していいだろう。エロゲ初めてやるって人にも勧められる。やっぱり才能の物語は最高だ。そしてそれがなぜ面白いのか? どんな点が面白いのか? をわかっている。それが実に心地がよく、もうぶっ通しでプレイ出来るってもんである。テキスト全体も見ると、基本的に一言が足りているというか、フォローが上手いという感じ。プレイヤーが違和感を覚えるところに先の先を取って一言加えられていて、読んでいて不快感が無いどころか楽しさが非常に増す。バランス感覚が優れていると言う他ない。会話のテンポもめちゃくちゃ良かったから飽きがこなかったし、キャラクターはみんな立っている。個別の方でも話すが、演出周りも非常に優れている。ユーシェルートとルナルートの最後とか溜め息もの。